WHOのガイドライン。幼児期における非スクリーンベース活動。

WHO(世界保健機関)が4月に「5歳以下の子どもたちの身体活動と不活動および睡眠について」のガイドラインを発表しました。中でも注目されるのは「Screen Timeの慢性化が子どもの不活動を作り、健康障害を引き起こしている」という指摘です。「Screen Time」ということばはご存知でしょうか。昨年からアイフォンにも標準搭載されていますが「スマホの機能(時間)制限」の装備のことですが、いい方をかえると「画面に見入っている」「釘付けになって動かない」状態といっていいでしょう。これが加速的に増加しており、世界の子どもたちの身体活動や睡眠に大きな影響を与えているというのです。
WHOの研究者フォアナ・ウィルムセン博士は、「拘束されがちなScreen Timeを、よりアクティブなプレーを中心に、非スクリーンベースの活動に転換する」重要性に言及していますが、要は幼稚園活動がそうであるように、座っていても読書、読み語り、うたやパズルなど「動き」を保証せよ、というのです。

早いうちからスポーツをさせよ、といっているわけではないのです。幼児期には、何かの種目より、多種多様な運動機能を存分に活かすことではないでしょうか。食事にせよ、通学にせよ、掃除にせよ、まずは自らしっかり動くことです(しかし、すでに日本の小学生のスマホ平均時間は毎日2時間です)。最近、日本小児学会も警告を発していて(6月3日)、5歳児以下の幼児の肥満対策として、良質の運動と睡眠、そしてscreen timeの制限に言及しています。

さて、総幼研の動きの活動について、目を向けてみましょう。毎朝の体育ローテーションは子どもの基本動作を全面稼働させるもので、それを毎日、仲間と共に楽しくくり返すのです。そこには、スポーツのような勝敗や記録はなく、身体を使って得られる達成感や幸福感があって、だから「運動が好き」といえる根拠となるのです。さらに、教室で展開される毎日の日課活動では、最初の瞑想を除けば、出席カード、音読、数唱、リズムパターン、うたなど全て「アクティブなプレー」に満ちている。ウィルムセン博士のおっしゃる、「対話型の非スクリーンベースの活動」といえるのではないでしょうか。これを、例えば毎週5日間、園生活3年間積み重ねていく。そのことで、体力のみならず、脳の「海馬」や「前頭前野」を刺激して、記憶力、判断力、集中力を向上させる(WHO)ことが明らかになっているのです。

AIには身体はありません。自分の身体感覚に自覚的であるということ。動きを中心とした、総幼研の園活動の意味をしっかり考えていきたいものです。

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