eスポーツがオリンピック種目候補に挙がるほど、ゲームの進化はこれまでの概念を打ち崩しつつあるようです。すでに教育や介護、ビジネスや金融にまでゲームの実験的な導入がはじまっているという新聞記事を興味深く読みました(6月21日・日経新聞)。
たとえばリハビリ。20年前までは苦痛そのものだったものが、いまではゲームを取り入れ、楽しみながらリハビリや介護予防を目指す研究が進んでいるそうです。詳細の紹介は省きますが、あそび感覚で転倒防止とか筋力がアップするのであれば、気分もよいし、施設では仲間どうし点数を競ったりして笑いが絶えないといいます。
こういった日常生活の様々な事柄にあそびの要素を取り入れる考え方を「ゲーミフィケーション」といいます。昭和世代の私には、ゲーム=おあそびという思い込みからなかなか逃れられないのですが、発想を転換すれば「楽しいからやる」「持続する」「満足する」という正のスパイラルは、幼児教育にも通じるところ大です。
そもそも幼児は嫌いなことはやらない。幼稚園の活動も、子どものやりたい! という欲求を満たしているからこそ楽しいのであって、それを今風にゲーミフィケーションといっても差し支えないのかもしれません。毎日の日課も、体育ローテーションも、子どもにとって丸ごと楽しさを体感できるあそび=ゲームです。
いつも笑いが絶えない、身体がよろこぶ、脳波がジャンプする、というような感覚をどう教育に取り入れて行くのか、「指導する」「教授する」という構えから逃れ、あそびの主体である子どもがいかに自由に園生活を楽しむことができるか。課題は、あそびの主体を育む私たち教育者の側にあるのかもしれません。