総幼研の研修会で、全国のたくさんの加盟園にお邪魔いたしますが、どの園でもまず子どもたちの「おはようございます」の挨拶で迎えていただきます。声、表情、姿勢がいきいきとしている。「挨拶力」は総幼研のおおよそすべての園に定着していると感じます。
ベネッセ次世代育成研究所が小1から3歳児までの子を持つ母親 5016 人対象に、「小学校入学前に身につけてほしいもの」調査を行いました。ベスト3は「挨拶ができる」「あきらめずに挑戦できる根気」「人の話を最後まで聞ける態度」です。実際にこうした力が子どもについているかを尋ねると、順番に、 91.7 %、 69.2 %、 77.7 %の結果でした。
この調査は、家庭の母親を対象にしたものですが、幼稚園児・保育園児であれば園と家庭の両方の面から子どもの生活態度をとらえなくてはならないでしょう。
挨拶は「しつけ」の領域ですが、あとの二つ「根気」「聞く力」はむしろ園の集団生活の中で育まれるものです。
ベネッセの調査では「学びに向かう力」を「自分の気持ちを言う、相手の意見を聞く、物事の挑戦するなど、自己主張、自己統制、協調性、好奇心に関係する力」と定義しています。「根気」も「聞く力」も、小学校の授業に参加し学ぶ力の要となるもの。それが、幼児期の集団生活を通して育まれるのです。
「挨拶しろ」といって「挨拶」が普及しないように、「学びに向かう力」も強制して育つものではありません。子どもは生まれながら意欲的な存在です。自ら発達したいという本能的な願望をもっています。そこに、ことば、動き、リズムといった発達原理を活かして、自然に「根気」や「聞く力」を身につけていくのが、当会の教育実践の道筋です。
園のすぐれた環境にかかわり、子どもが自ら主体的に経験してはじめて「学びに向かう力」が芽生えていくのだと思います。ちなみに、「学びに向かう力」はすべて、その子の生活習慣の定着に比例しているというデータもありました。肝に銘じておきたいものです。