総幼研の研究助成事業として、昨年の12月12、13両日、パドマ幼稚園で、幼児の脳内活動の計測実験が行われました。ご指導いただいた諏訪東京理科大学の篠原菊紀先生の言葉を借りると「幼稚園のクラス集団における計測は世界でもないのではないか」とのこと、2日間、4学年のべ8回の計測が実施されました。もちろん、総幼研の教育活動には自負があります。約30年積み上げた日課活動の実践効果はどこよりも熟知しているつもりですが、科学の時代となれば、それを実証することも必要となりましょう。教師が経験で理解していることも、データで裏付けていくことで、さらに確信と安心が得られるもの。正直なところ、何の不安もなかったとはいいませんが、画期的な実験に臨みました。
同大学から持ち込まれたのが、NIRSという脳内計測機器。大型コピーくらいの精密機器なのですが、その性能に驚きました。頭に装着した特殊なギアの端子から、脳の血流状況を計ると、それが脳波のように画面に表れ、どの部位が活性化しているか、ほぼ瞬時に理解できるのです。時間軸がわかるので、ひとつひとつのタスクごとに活性度具合がわかります。どの学年でも、日課の音楽になると脳内活動のメリハリが顕著となるのが印象的でした。
気になる実験の結果について、詳細はまた別の機会に譲りますが、篠原先生からも「すばらしい」と太鼓判をいただきました。リズム、テンポ、くりかえし、集団の中から個が育つ、音読・素読の効果、右脳と左脳のバランスのとれた発達など、いずれも当園の教育実践の原理が実証されることとなりました。今後は篠原研究室でデータを解析して、詳細の報告書を仕上げていただきます。
それにしても、何と園児たちの果敢なことか。慣れない実験機器に囲まれながらも、ふだん通りに日課活動を立派にやり遂げた子どもに、心底感銘をおぼえました。篠原先生からも「子どもの実験でこれほど完璧に計測できたのは、驚き」とお褒めの言葉をいただきました。
なお、自律神経を調べるライフスコアも、2日間、のべ40人の子どもたちを計測しました。こちらの結果は心電図データを研究所がとりまとめ、後日報告を受けます。