身体の共鳴。アフターコロナの総幼研、動く。

■事務局長の会員園訪問
コロナ5類以降、本部事務局の動きが活発になっています。総幼研ハンドブックにある「指導方針」や「先生の心得10か条」の見直しや、それに伴う専門部会や小委員会の開催など、今年後半は通常以上に活性化が進んでおり、裏方で資料の準備や会議の進行など、事務局の面々が尽力してくれています。
中でも最も活発化しているのが、城田邦生事務局長による会員園訪問です。コロナ禍の間は、全くといっていいほど直接コミュニケーションが取れなかった園さんに、自ら足を運び、園長先生との1対1の懇談が続いています。7月からはじまって、すでに全国40園の園を訪問させていただきました。
詳細は省きますが、報告を聞くにつれ、つくづくリアルな(対面)コミュニケーションのたいせつさを感じます。用件だけなら電話でもZoomでも可能でしょうが、園長の心うちはもっと多面的であり複雑、また時に苦悩をともなうものです。ある意味、事務局長という他者が向き合ってはじめて吐露されることもあるようで、人間的で深い対話が生まれていると感じています。

■出会うからこその共感力
10月からは、4年ぶりに支部公開保育が対面で再開となりました。オンライン研修でも学べることはたくさんありますが、実際に現地まで足を運び、子どもに触れ、先生の表情から感じることは、全く異質の経験です。また、総幼研を同じくする100人前後の保育者とリアルに「出会う」ことも、強く自意識を刺激して、仲間どうしの共感力を再生させたことでしょう。
また、11月にリアルで開催された小委員会でも同様の感覚がありました。全国からすぐれた保育実践を進める園長先生5名が、膝を詰めて丸一日議論を交わしたのですが、その濃密かつ創造的な経験もたいへん貴重なものでした。来年度の40周年に向けて、総幼研指導理念のアップデートをどう図るのか、近々改定案として提案されますが、それを成らしめたのも、人が集まり、ことばを交しあった結果なのです。
ゴリラの研究で著名な、総合地球環境学研究所所長・山極壽一先生は、信頼関係をはぐくむには、「身体の共鳴」が不可欠と、インタビューで述べています。

「身体の共鳴とは、同じものを見て、同じ場所に立って、同じ楽しさを味わうことで、自分の存在と相手の存在を一体化させることです。人間もゴリラと同じように、身体の共鳴によって共感や信頼を築いていきます。身体の共鳴がないと、人間は孤独になったように感じてしまうのです。(中略)相手とのやりとりにうまく対応するには、(同じ場所、同じものを見て)自分で直感的に判断していく必要があります。言葉だけではなく、相手の意識や身体や心を共鳴させていかなければならないんです」(ウエブマガジン oury Mag)

明けて新年は、コロナへの憂いなく迎えることができそうです。であるならば、総幼研40周年に向けて、共に身体を共鳴させながら大いに飛翔したいものです。

Pick UP

コラム・レポート

PAGE TOP