教育を選ぶ人。親が成長を実感できる園とは。

■小学校受験
パドマ幼稚園では比較的小学校受験熱が旺盛です。「お受験の幼稚園」という評判もあるようですが、特段そういう指導はしていないもののやはり教育熱の高い保護者の方が多く、年長の半分以上が国・私立の小学校を目指します。公立小学校だけの地域もたくさんあるので、やはり都心部特有の傾向かもしれません。
『小学校受験 現代日本の「教育する家族」』(光文社新書)という本を読みました。お受験を揶揄したり、煽ったりする内容ではなく、日本大学の望月由起教授があらゆるエビデンスを集めて論述した、いたって真面目な本です。著者の意図のひとつには「実態を知らないまま、偏ったイメージそのままの固定観念を持つ人」の誤解を解くという一面もあるのでしょう。
園長先生方に受験の実態を伝えるのが本稿の目的ではありません。同書の中で私が共感したのは、教育に対するスタンスを巡る4つのグループ「教育を操る人」「教育を選ぶ人」「教育を受ける人」「教育を受けられない人」の類別でした(志水宏吉)。近年ペアレントクラシー(親格差)ということばが生み出されるほど「教育格差」は拡大していますが、とりわけ子どもにとって最適と思われる教育を選びとろうとする「教育を選ぶ人」の存在が際立つようになり、教育熱心な親ほど受験に対し目的的であるという指摘でした。

■親子が共に成長できる場
「教育を選ぶ」というと連想するのが「選ばれる園」という題目です。出生数が80万を割るといわれる少子化の中、いかに園は生き残っていくのか、「園児
募集」が園種の区別なく重要な経営課題となっています。もちろん保護者にとって利便なサービスも必要ですが、総幼研の園ならばまず中身で選んでい
ただきたいし、そのように「教育を選ぶ人」こそ対象視されていることでしょう。
では、いったい「教育を選ぶ人」は何を魅力として選んでくださるのでしょうか。先行する資料や数々のデータもあるので詳しく触れませんが、同書を通して感じたことは、選ぶ人ほど自身の成長や家族の結びつきなどを強く念じているという事実でした。
小学校を受験する家庭の大多数では、「親子ともに成長していくことのできることで、同じ目標を持ち、親子関係をよりよいものにするのではないか」「親子が密に関わり、信頼関係を強めた」「夫婦でよく話し合い、心を一つにすることができた」(同書自由記述より)など子育てに対して、成長や信頼といったポジティブな感情を持つのであって、これは受験という囲いを払っても、幼少期の教育機関に等しくいえるのではないでしょうか。園は、親子が共に成
長できる場として選ばれるはずです。
園児募集は、この時代における経営最大の課題です。確かに保護者ニーズや商圏調査も大事ですが、教育・保育の本当の魅力はやはり内容であり、そこに理念や方針が貫かれているか、そのように実践されているか、に尽きるのではないでしょうか。
「教育を選ぶ人」が、確かに私も成長していると実感できる幼児教育こそ、総幼研各園が目指すものであってほしいと思います。

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