子どもの身体感覚。みんなで動くからたのしい。

 当たり前のことですが、 身体機能は、使わないと劣化します。子どものからだの異変、自律神経失調症や異常体温、浮き指や扁平足など、さまざまな問題は、要するには、子どもの時に使うべきからだを十分つかっていないから。汗をかかないから、自分で体温が調整できないのです。

 では、子どもは持てる身体機能をどう働かせかせばよいか。子ども向け体操クラブは数多ありますが、だいじなことは個別指導ではない。じゃっれこ遊びは有効ですが、これを意図的に計画化していくことも容易ではありません。幼児の場合、いちばん重要なことはいかに「たのしく」身体を動かすことができるか、どうかに尽きます。
 総合幼児教育研究会の体育ローテーションも、跳び箱やマット、はんとう棒等々いろいろあるが、いちばんの肝要は、「みんなで目標を共有しながら、テンポよくくり返す」こと。みんなで同じ方向、同じ流れをつくりだすことで、子どもは自分たちどうしが共振していくのです。それがたのしい。個人が銘々ではなく、集団の大きな流れに参入することでいつの間にか、みんなでからだを動かすことが快感となる。誰から与えられたたのしさではなく、自分たちでつくりだした本当のたのしさ。けっして跳び箱の跳べる、跳べないを競うものではありません。
 さらに、次々と運動メニューが続くワクワク感や、ちょっと手を伸ばせば達成可能な目標があるとか、子どものたのしさを担保する連続性や展開性があることもローテーションの魅力といえるでしょう。

 体育ローテーションの目的は、体操クラブのように体育技能を伸ばすことではありません。体育以前の身体感覚、「走る」「跳ぶ」「登る」あるいは「這う」「投げる」など自分に備わったさまざまなからだの感覚を活かすことなのです。絶対条件は、みんなとからだを動かすことがたのしい、がんばることがたのしい、ということ。集団ならではの極上のたのしさがあります。

 これから寒くなりますが、これからがこの学年における成長期。はだか、はだしで毎朝体育ローテーションにたのしく励んでまいります。

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