総幼研の教育活動を科学的に検証〜総幼研日課活動を脳科学で読み解く〜
脳科学者・篠原菊紀先生による研究報告
総幼研では、第1回研究事業として諏訪東京理科大学篠原菊紀研究室と協力して、日課活動における幼児の脳内計測実験を行いました(平成24年12月12日〜13日・大阪パドマ幼稚園)。総幼研の教育活動についての科学的な検証を目的としており、「多チャンネル近赤外線分光法装置(通称NIRS)」と「心拍センサー(ライフスコア)」を活動中の園児に装着して、実験を行いました。
計測実験については、パドマ幼稚園の空き教室を利用し、各クラスが入れ替わりながら、次々日課を行うというもの。治験の園児はやや重いヘッドギアを装着しながらですから、相当の負担があったかと思いますが、普段通りにやり遂げてくれました。子どもたちみな、実験に際し、初めて見るNIRSに興味津々でしたが、総幼研の子どもらしく秩序正しく「協力」してくれました。
NIRSの計測結果から、日課における子どもの脳活動では、きわめてメリハリのついた顕著な反応が見られ、子どもの集中力を引き出す活動であると同時に、子どもの意欲、やる気の形成につながることが推測されました。
また、ライフスコアでは、活動毎の自律神経バランスを算出しましたが、4学年ともに交感神経・副交感神経のバランスがよく、まずローテーションで交感神経活動を高め、日課で副交感神経活動を高めていくなどメリハリある神経活動が観察されました。
本コーナーでは、実験後に行われた篠原先生との対談抄録を掲載します。
諏訪東京理科大学共通教育センター教授
篠原菊紀(しのはら きくのり) 先生
●長野県茅野市出身。東京大学、同大学院教育学研究科博士課程等を経て、諏訪東京理科大共通教育センター教授、学生相談室長、東京理科大総合研究機構併任教授。
専門は応用健康科学、脳神経科学。多チャンネルNIRSや視線追尾システムを使って、「学習しているとき」「運動しているとき」「遊んでいるとき」など社会応用を目的とした日常的な脳活動を調べている。教育産業との共同研究も多い。
●「はげひげ」の脳的メモ……http://higeoyaji.at.webry.info/