オンデマンドシステム開始。学びの共有と実感。

■変化した観戦スタイル
東京オリンピックがはじまりました。開催までには賛否あったものの、57年前の大会を知っている世代としては感慨深いものがあります。
アスリートの記録はもちろん、種目や会場もどんどん新しくなっていきますが、オリンピック放送の観戦方法もすっかり様変わりしました。昔は一家に一台、家族揃ってテレビ画面に声援を送ったものでしたが、現代はパソコンでもスマホでも、屋内外選ばずに観ることができる。集合鑑賞から個人鑑賞へと大きく変化したのです。
総幼研でもまさしく同様の変化が起きています。7月20日からはじまった総幼研オンデマンドシステムです。試行期間を含めるとすでに100を超える会員園がログインされているとのこと、コロナで色々な研修が制限される中、皆さんの期待を感じます。
オンデマンドとは、視聴者が観たい時にストックされたプログラムを視聴できるサービスを意味します。受講者は好きな時に好きな場所からアクセスすることができるので、時間や場所にとらわれないし、自分の都合を調整する必要もありません。これは研修参加の幅を飛躍的に広げます。

 

■情報セキュリティをどう守るか
単発的なオンライン研修やZoom研修は幼児教育系でもたくさんありますが、オンデマンドとなるとあまり類を見ません。もちろん総幼研が独自の実践に根ざし、豊富な蓄積を持つことはいうまでもないのですが、さらにその方法が、活動や種別、段階に応じて、体系的に総合的にまとめられているからではないでしょうか。
1回目の配信プログラムには、「ことばあそび」「もじのカードあそび」や各体育活動の補助などが上がっていますが、これは総幼研が子どもの発達目標を同じくしながら、活動、あるいは教具教材を共有しているから価値を持つものです。仮説として申し上げれば、総幼研ハンドブックの項目がすべて動画プログラム化されたとしたら、現場での一次的な指導のあり方も大きく変わることでしょう。あるいはすでに先行しているZoom研修のふりかえり、復習プログラムとして活用することもできるでしょう。プログラムの充実次第で、将来は人材育成における履修制度や検定制度も可能となるかもしれません。37年かけて洗練されてきた総幼研のシステムが活かされる時宜を迎えています。
一方でオンデマンドでの公開は大きなリスクも伴います。情報のセキュリティをどう保つかという重要課題です。ログイン情報を知っていれば誰でも扱えるので、貴重なプログラムが録画されたり複写される危険性は絶対ないとはいえません。コピーしたり転送したり、あるいはスキルさえあれば改ざんすることも簡単にできます。配信される動画プログラムは総幼研共有の知的財産であり、それに対するセキュリティ意識が誰にも必要となるでしょう。園長先生には、職員の先生方へのご指導を十分にお願いしたいところです。
もちろん、総幼研の研修がすべてオンデマンドに乗り換えられるわけではありません。コロナがいずれ沈静化した折には、徐々にリアルな集合研修も再開となるでしょう。公開保育然り、単園指導然りです。
無観客のオリンピックを喜んでいる人はひとりもいません。競う人、演じる人、支える人、応援する人らが揃って、スポーツの祭典は輝きます。それと同様に、総幼研の研修も情報や技術の共有にとどまらず、仲間とのつながりやふれあいを実感できてこその学びではないかと思います。身体ごと時空に参加して、そこから得られる感動こそ総幼研の宝であることを疑う余地はないのです。

 

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